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アメリカオンライン撮影技術情報
Director of Photography
Seigo SAKAMOTO JSC/SOC
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この文章は1995年当時の記事の転載です。

 アメリカオンラインとは、米国にあるパソコン通信会社で、ここにあるハリウッドオンラインや、コダック・フォト・フォーラムでは、現役の撮影監督たちが実際に現場で得た貴重な撮影技術情報を交換する場として利用しています。今回、日本からのアクセスなども含め、どの様なことが行われているのかを、お伝えしたいと思います。
 
 昨今ではインターネットを含むパソコン通信は、日本でも数百万を越える利用者がいると言われ、日に日にこの数は増加しています。パソコン通信本家でもあるアメリカでは、すでに1千万人に達しているとも言われ、数ある通信会社の中でもアメリカオンラインは最大手に属します。 そして、多くのプロデューサーやディレクター達がコンピューターネットワークを利用し情報交換するように、多くの撮影監督たちも、このパソコンネットワーク(アメリカオンライン)を利用しています。
 
それでは、アメリカオンラインの中にあるハリウッドオンラインを見てみましょう。
 このハリウッドオンラインでは映画に関するあらゆる情報を扱っていて、ここにあるムービートークのコーナーでは映画関系者のための個別のフォーラムが用意され、映画業界のそれぞれの職業別に、例えばプロデューサー、ディレクター、撮影監督、特撮関系者、ギャファー、グリップ、美術関係者、等があり、また自分を売り込むために履歴書を掲示するコーナー、反対にプロダクションが撮影スタッフを募集するコーナー、機材を売り買いするコーナー、等広範囲にわたっています。もちろん劇場最新作に関する情報や、最新作の予告編動画ファイルなどもあります。
 今回はここにある撮影監督のためのフォーラム「シネマトグラファー」を中心に話を進めたいと思います。
 なお、アメリカオンラインにアクセスすることが出来る人ならば、誰でもこのフォーラムに参加することが出来ます。
 では、具体的にどの様な人物がネットワークに参加しているのでしょうか。通常のパソコン通信では、一般にはスクリーンネームまたはハンドルネームという仮名を使います。これはプライバシーの保護からきているのでしょう。 
しかしアメリカオンラインではこのスクリーンネームなどから個人のプロフィールを検索するコマンドがあり、もちろんその個人が自分のプロフィールを公開している場合に限りますが、以下に何人かの例をあげてみます。
Steven ASC = Steven Poster ASC
RHWASC = Roy H. Wagner ASC
ArtAdams = Art Adams SOC
OvrExpose1 = Mark Simon
NEG PERF = Ken Arlidge
Panadude = Jim Roudebush (PANAVISION)
ARRIFLEX = Russell Guenther (ARRIFLEX Co.)
 もちろんこの人たち以外にも、シネマトグラファーやDPとしてプロフィールを公開している人の数は、私が調べただけでも200人以上にのぼり、また公開していない人までいれるとかなりの数になると思われます。また時としてディレクターやプロデューサー、そしてパナビジョンやアリフレックスの関係者、ロスアンジェルスの撮影機材レンタル会社も参加しており、その参加人数は計り知ることが出来ません。
 さて情報交換の内容ですが、これは誰かが何かの事に関して質問や情報を公開すると、それについて別の誰かがその答えやまたは別の情報を伝えるということを繰り返し、主題としては「機材に関して」、「ライティングに関して」、「フラッシングに関して」、「白黒撮影に関して」、等々多岐に渡りこれらの主題からさらに細かく副題が分かれています。

 具体的内容を幾つか紹介しましょう。
 (英文をなるべく忠実に翻訳しました。)
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 アリ435に関して。
Subj:Arri435 95-06-13 00:03:57 EDT
From:ArtAdams
 エキスポに出展されたアリ435に関して情報が知りたい方へ。
 まるで、くるみの殻のような、うるさい535を想像して下さい。535と同じマイクロプロセッサーコントロールで同じタイプのビューファインダーシステム、スタディカムで利用するさいにはこのファインダーシステム全てを取り外すことができ、軽量化が図れます。
 とにかく軽量コンパクトでスタディカムでの使用を元に考えられた物ですが、もちろん手持ち撮影にはもってこいです。もしかしたらアトーンより軽いかも知れない?
 これとは別に、バーンズ&ソウヤー (Birns & Sawyer) のブースではリビルトされた35BL"THE EVOLUTION." が出展されてました。これは古いBL3をドイツにある会社に送れば、180度反転可能なビューファインダーに取り替え、ムービーカムスタイルのアリグロー、折り畳み可能なキャリングハンドル、BL4sムーブメント、再塗装、等を施してくれるものです。そしてマガジンにピッチコントロールも取り付けてくれます。そして素晴らしいことにBL4sよりも軽いことです。

Subj:Arri435 95-06-28 17:45:44 EDT
From:ARRIFLEX
 435カメラ仕様。
435ES
LCDディスプレー
24Vクリスタルモーター 1−150コマ 正回転、逆回転
電子制御可変ミラーシャッター 11−180度
タイムコード
ジェラチンフィルターホルダー
PLマウントによるスーパー35可能
アリグロー
4プルダウンピン デュアルレジストレーションピン
 この他、多くのアクセサリーが535やSR3と共に用意されており、今までのマガジンでは、130コマまで、新しいマガジンでは、150コマまで可能です。
 なお詳細を知りたい方は Joe Sheehan 1-914-353-1400 または Fred Martinez 1-818-841-7070までご連絡下さい。
 Russell Guenther Arriflex Corp.
 
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 35mm 3パーフォレーションに関して。
 Subj:3-perf 95-07-25 18:00:34 EDT
>From:DWRichert
 多くのテレビ界のプロデューサーは、制作費を下げるために今までの35mmでの撮影から16mmへと代えようとしています。気になるのはもしまだ35mm3パーフォで撮影されている方がいるのかどうか。(中略)
 この件に関しての情報やコストセービングにつながるのかどうか、意見を聞きたいと思います。

Subj:RE:3-perf 95-07-26 01:52:08 EDT
From:ArtAdams
 私の知る限り、ワーナーブラザースでの作品全てが3パーフォによるコストセービングにより撮影されています。
 マックスヘッドルーム(Max Headroom テレビシリーズ)では3パーフォ30コマ撮影で行われました。これはほとんどのシーンでテレビ画面を撮影しなければならなかったためで、16mm30fpsよりも35mm30fps の方が格段の差がみられます。

Subj:Re:3-perf 95-07-26 11:53:25 EDT
From:Panadude
 今期に入り3パーフォでの撮影は少し増えたように思います。現在20の作品で3パーフォの撮影が行われており、ほぼ同数でスーパー35によるテレビシリーズ、この中の10作品ではスーパー35による3パーフォで撮影されています。
以上、パナビションスタッフより

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 LAの現像所。
Subj:Best LA labs? 95-06-01 09:31:23 EDT
From:DirectCam
 私は、現在35mmと16mmによる短編映画の撮影を行っていますが、LAにある現像所はどこがベストか、またなにかコメントがあればお願いします。

Subj:Re:Best LA labs? 95-06-04 17:40:37 EDT
From:Primes ASC
 フォトケム(Foto-Kem)、 CFI、 デラックス (Deluxe) などはどれも一定して良いです。
ここ最近私はテクニカラーを使っていません。

Subj:Best Labs 95-06-07 14:19:10 EDT
From:Vomitter
私はオプチカル関係の会社の者ですが、LAのほとんどの現像所と仕事をしてきました。私はデラックスがベストだと思います。

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 ここで紹介したのはそのほんの一部に過ぎません。特にライティングに関してなどは、ローバウンスライティング、気球にバウンスライティング、黒い肌の人へのライティングコントロール、等、色々な視点から色々な意見が延々と述べられており、ここで簡単に紹介することが出来ないのが残念です。

 ところで、先に記したようにアメリカオンラインの中のコダックフォトフォーラムでも、一般向けのスチール写真に関する情報から、プロのシネマトグラファーのための情報及びフォーラムを扱っています。

 さて、日本からのアクセス方法ですが、現在東京と大阪に一カ所ずつアメリカオンライン専用の高速アクセスポイントがあります。
 東京 03-3794-6381 大阪 06-910-7111
 これは、電話会社のスプリントネットを利用するもので国際通話料金がかかります。
また通信のためにアメリカオンライン専用のソフトウェアーが必要で、秋葉原などのコンピューター関係の洋書を取り扱っているところで、マニュアルブックと共に手に入れることが出来ますが、このソフトとマニュアルは基本的にはアメリカとカナダからのアクセス方法でプログラムされているため、日本から初めてアクセスする場合にはアメリカオンラインの住所、またはアメリカの友人知人の住所を一旦入力し、接続されたところで日本の住所に変更する作業をしなければなりません。
 なお私の場合はスプリントネットを利用せずに、通信費用をセーブする事が出来るインターネットを利用して接続しています。
(注)インターネット上のアメリカオンライン(AOL)ではありません。AOL専用の
ソフトからは、インターネットを経由して、AOLのパソコン通信回線に入るためのスイッチがあり、これを利用するほうが費用がかかりません。  ところで、アメリカオンラインの発表によると、近く日本での具体的なサービスを開始するとの事なので、より使いやすい状況を期待するばかりです。
 また今日では1万円を切る翻訳ソフトも出てきました。これらは決して難しい問題ではないと思いますので、興味のある方は是非コンピューターネットワークを利用してみてはいかかでしょうか。
(注2)1999年、日本でのアカウントも簡単に拾得できるようになりました。


日本映画テレビ技術協会発行、映画テレビ技術95年11月号、及び、日本映画撮影監督協会発行、映画撮影No,129 号(1996.1月)、に掲載。

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