日本マクドナルドTVCM
パナビジョンフレイザーレンズとビデオランチボックス。



flazier lens

Panavision Frazier Lens フレイザーレンズ

 日本マクドナルド「チキチキ編」ではハンバーガーのおもちゃがミニチュアの町を歩き回るもので、この撮影ではパナビジョンのフレイザーレンズを使用しました。

 数年前にこのレンズが日本に入ってきた頃には、何故かディープフォーカスのみが取り上げられてしまい、その本来の性能が棚に上げられてしまったようです。
 たしかにこのレンズは絞り込むことにより、レンズ面から無限まで被写界深度を得ることが出来ます。しかしその特殊なレンズシェープとレンズ先端が360度どの方向にも向くことを利用すれば、かなりその用途も広いはずです。そして内部に組み込まれたプリズムにより画面のローテーションも簡単にできるために、ダッチアングルやモーターを取り付けて無限に画面をローテーションさせることも容易に可能です。

 今回の撮影のように非常に狭い世界で、しかもアニメーターによる駒撮りの場合には、その作業スペースを確保するためにも、そしてカメラボディーやレンズが照明の邪魔をしてそれらの陰を作らないためにもその性能を有効に使うことが出来ました。



 とは言ってもレンズの絞りはT7.1〜T32とかなり暗く、またT11より絞りを開けてしまうと異常に深度が浅くなってしまう危険もあり、反対にT11以上に絞ると、先端に取り付けるレンズの後ろやその後方にあるプリズムにたとえ微少なごみであってもそれがフィルムに写ってしまう危険もあります。
 また、フィルタースロットがプリズム後方にありますが、これも同様にフィルター上に小さなごみがあった場合にはそれが写ってしまうために、アメリカのレポートでは使用することをさけた方がよいと報告されています。

 たしかにこのような問題点があるものの、カメラが直接設置出来ないような場所でも、レンズ先端が入れるスペースがあればどのようなところからでも撮影できるため、私の他の作品でもたびたび使用しています。




ランチボックス

 この撮影では駒撮りによるフルアニメーションのそれぞれのショットを確認するために、アニメーションツールワークスのビデオランチボックスを使用しました。
 このアメリカのお弁当箱そっくりな、その形状のためランチボックスとよばれるこのメモリーディバイスはメモリーチップにビデオ画像などを記録するもので、ノーマルレゾリューションならば最大で1024フレームまで、カラーでも白黒でも画像を記録することが出来ます。

 このランチボックスは特別なコンピュータープラットフォームやオペレーティングシステムに依存せず単体で機能するため、セットアップや操作は非常に簡単でカメラのビデオアシストからのケーブルを直接接続し、モニターなどへアウトプットすれば、マニュアルでワンフレームずつ記録(撮影?)することも、インターバルタイマーを使って1秒から255秒までの間隔で自動的に記録することも、ライブで30駒撮影も可能です。

 今回の撮影ではモーションコントロールによるトラッキングショットだったために、アニメーターの一駒分の作業が終わった後に、カメラのスイッチとランチボックスのスイッチ、そしてモーションコントロールの一こま分の移動のための操作と3人掛かりになってしまいました。
また再生は15,24,30駒秒のスピードが選べるために動きのチェックも簡単に確認できますし、アニメーターが今作業している前のカットもスイッチ一つで比較確認する事なども容易にでき、さらに記録した画像をループ再生することも可能です。
 大きさも25cmX15cmX25cmとコンパクトで重さも1.5キロと軽量です。
 なおこのランチボックスはAC(110V)電源でのみ作動し,バックアップのためのバッテリーはありません。したがって電源が落ちた場合、すぐにパワーが戻らない場合にはメモリーされた画像は消えてしまいます。この辺は改良の余地がありそうですね。

 ランチボックスはメモリーにキャプチャーできる容量で256フレーム、512フレーム、1024フレームの3タイプあり、これはノーマルレゾリューションでのフレーム数、ハイレゾリューションではそれぞれ半分のフレーム数になります。

 価格は1024フレームタイプで約50万。


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