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LLD filter




Low Light Dispersion Filter (LLD filter)

このカメラフィルター、日本での認知度が何故か低いように思えてなりません。

LLDフィルターは簡単に言えば85番と同等の効果でフィルターファクターがかからないフィルターです。

昨今、タングステンタイプのフィルムをデイライト光源下で85番の色温度変換フィルターも使わずに撮影するという話を聞き、正直驚くばかり・・

85番の色温度変換フィルターはフィルターファクターが2/3絞り必要ですが、撮影状況によってはこの2/3絞り分でもロスしたくない時等にLLDフィルターは使用することが出来ます。

これはタングステンタイプのフィルムをデイライト光源下でそのまま撮影すると、当然ながらカラーバランスが崩れます。これをこのままポスプロで修正しようとしても実はフィルムの特性上、完全に修正することができません。特にオーバー露光では致命的です。

LLDは見た目は85番よりも薄いオレンジのフィルターです。
このLLDフィルターを使用することによって、フィルターファクター無しで、且つフィルムにとって最低限のバランスを保ちながら、ポスプロで正しい色温度に修正する為の大変便利なフィルターです。
ただし、85番フィルターに完全に取って代わるものではありません。あくまでも補助的にポスプロでの修正を前提に使用するフィルターです。

最近もスタジオ撮影でタングステンフィルムを使用して、HMIとタングステンそれぞれで照明したそれぞれのシーンを撮影するにあたり、フィルターファクターを考えないですむLLDをHMI照明下で使用し、タングステン照明とのバランスを取りました。

また、このLLDを85番の代わりに使用することによって、LLDが85番よりも薄いオレンジを利用して、すこしクールな色味にするとか・・
ズームレンズを使用していて絞りが足りなくなった時とか・・
Day for Night(疑似夜景)で使用するとか・・

フィルムにとって無謀な条件で撮影し後処理で何とか修正するよりも、フィルムに優しい環境を創り、望む映像にすること、これこそが映像創りの醍醐味だと思います。

下の写真は映画「プロフェシー」(The Mothman Prophecies)でLLDフィルターを使用しているところ。マットボックスにLLDのテープが貼られています。
この映画ではクールトーンを狙ってLLDが使用されました。
ちなみにレンズ上部にある筒状の物はPanatapeという超音波距離測定装置です。マットボックスのディスプレイに距離が表示されます。





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