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スレート |
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Slate 日本ではカチンコを打つのは助監督の仕事と決まっていますが、アメリカを初めとして海外ではセカンドアシスタントカメラマンの仕事です。もちろんセカンドアシスタントカメラマンは日本のシステムでのセカンドではなく、フィルムローダー、クラッパーとも呼ばれるファーストアシスタントカメラマンに続くポジションがこのスレートを使用します。 もっとも有名なスレートはDon Earlのスレートでハリウッドクラッシックスレートとも呼ばれ、25年に渡り作り続けています。 もともとこのスレートはその映像が何であるかを記録するためのボード。 撮影の前にシーンナンバーやカメラデータ(フィルムデータやTストップデータ、フィルター番号)など後に必要になるデータを記録するために撮られていたもので、さらに同時録音が行われるようになって、編集室で映像と音の始まりを合わせるために使用するようになりました。もちろん同時録音をしない場合でも、これをMOS(Mitt Out Sound)といって、クラッパーを叩かずにデータを撮影します。 また、タイムコードを表示させるタイムコードスレートもその先駆けであるDenecke,Inc.ではフロントボックスに収納できる軽量タイプもあります。 日本とアメリカではこのカチンコ(スレート)の打ち方にも大きな違いがあって、日本では「ヨーイ、スタート、カチン!」。 役者もこの「カチン」という音を聞いて演技を始めるのですが、フィルムを節約するためか、このあわただしい作業でフィルムに肝心なカチンコが写っていないこともしばしば。昔は一コマ打ちなんて言ってフィルムの一コマだけにクラッパーの拍子木を写すことが職人技と言われてきましたが、何ともナンセンス。 アメリカではこの一連の作業を文字で表すと、 監督:「ロールサウンド」 録音技師:「テープスピード!」(テープが正常に回ったことを伝える合図、もちろん最近はHDDもあるので立ち上がりも瞬時なため言わないこともあります。) 監督:「ロールカメラ」 ファーストアシスタントカメラマン:「カメラスピード!」(カメラが正常に回ったことを伝える合図) 監督:「マーク」(これはスレートを叩けという合図) セカンドアシスタントカメラマン:「シーンXX テイクXX!」 カチン! (2nd AC自身が「マーク」と発声し「シーンXX テイクXX!」 カチン! とする場合もある) カメラが複数台で撮影する場合は 「Aカメラ、マーク」「シーンXX テイクXX!」 カチン! 「Bカメラ、マーク」「シーンXX テイクXX!」 カチン! 監督:「アクション!」 役者は監督の「アクション!」と言うかけ声を聞いてはじめて演技をスタートさせます。 日本の気の短いスタッフには耐えられないでしょうね。 当然ながらスレートはカメラに正対に保持して、フォーカスもスレートに合わせます。 また、一度打ち下ろしたクラッパー(拍子木)は再び放すことはしません。打ち下ろしたままと言うことです。Don Earlのスレートにはクラッパー(拍子木)の間に磁石が組み込まれていて、テールスレート(ケツカッチン)の場合でも、つまりスレートを逆さまに打つ場合でも、打った後に拍子木が離れないようになっています。 さらにスレートの表記方法にも大きな違いがあります。 日本ではシーンナンバー、カットナンバー、テイクナンバーと三連の数字を使い、それ以外のカメラデータを書くことは殆どありませんが、アメリカではロールナンバー、シーンナンバー、テイクナンバー、そしてカメラデータとなります。 特に、あるシーンに対する個別のカットナンバーという考え方はなく、シーンに対する別アングルはシーンナンバーに続くアルファベットを表記していきます。具体的にはS#123A,S#123B,.....となりますが、数字と紛らわしい文字 I,O,Q,U,Z は通常使われず、またアルファベットにも限りがあるため、Yまで来たらAA, AB BA, BBというように組み合わせて使用します。また数字の6と9は上下が分かるようにアンダーラインを引き区別します。ちなみにこのアルファベットはApple, Baker, Charlie, Dog, Easy....と発音していきます。 殆どのスレートはドライイレースマーカーペンを使用し、メイク道具のパフをマーカーペンのおしりの部分に取りつけて書いた文字を消すようにしています。 特に数字や文字を書き込む場合は、如何に「きれい」に「読みやすく」スレートに書けるかはとても重要で、プロダクション名(これは作品名という意味)や監督、撮影監督の名前などはレターシールを多用します。 スレートのホワイトボードはどうしても汚れたり傷がついたりしますが、Don Earlのスレートはこのホワイトプレート部分のみ交換して取り替えられるようにもなっています。 フィルムツールやスタジオデポのウエブサイトには多種多様なスレートが取りそろえられていますが、標準的なサイズは一つで、これはフロントボックスに収納できるサイズと、インサートスレートといって小さいサイズの物がよく使われます。 アメリカなどではスレートはセカンドアシスタントの使用する必需品です。ちなみに日本では機材屋でカメラに付いてくるチェンジバッグも、海外ではセカンドアシスタントが私物として用意している事が多いのです。 |
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