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Film vs HD |
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アナログとデジタルのゆくえ 第1部 2003年秋、フィルムカメラメーカーの老舗アリフレックス社が、デジタルムービーカメラのプロトタイプ d-20 を発表しました。 ここ数年来のアナログデジタル論争にようやく正しい方向性を導き出すであろう d-20 カメラ。 このカメラの性能と将来性を探る前に、ここ20数年来のムービーカメラそしてHDカメラを紐解いてみましょう。 今から20数年前、35ミリムービーカメラのアリフレックス2Cやミッチェル35Rはそのメインモーターにバリアブルモーターが使われていました。 このバリアブルモーターとは電気抵抗の電圧変化によりスピードを調節するもので、カメラには機械式のタコメーターがあり、スピードを調節するノブを回して撮影しようとするコマ数を決定するという、今から考えれば非常にアナログ的なモーターです。 もちろん現在でも特殊な撮影効果を求める場合にバリアブルモーターは使用されています。(16ミリカメラではアリフレックス16STがこのタイプのモーターを使用しています) 実際にアシスタントとしてこのカメラに付く場合には、撮影前にモーターのスピード調節ノブがどのあたりで必要とするコマ数(大抵は24コマ)になるかテープを貼ってマーキングするところから始まります。 そして監督の「よーい」のかけ声と共にカメラのスイッチを入れ、すかさずタコメーターが24コマになるようにノブを調節しなければなりません。特にバッテリーで駆動させている場合にはバッテリーの電圧低下と共にコマ数が落ちてくるので、撮影中にも常にスピード調節ノブを指でつまんだまま、微妙な調節を余儀なくされます。 もちろん1秒間に対するフィルムコマ数の精度は、今のカメラに比べたら比較にならないほど劣りますが、アシスタントにすればフィルムが正しいスピードで送られるように調節するこのアナログ的な操作は、とてつもない緊張感を伴うのです。 とは言うものの、この緊張感は物を創る上での集中力を養う上でとても重要なことだとも思います。 この時点でも使い勝手の悪いバリアブルモーターではなく、クリスタルモーターと呼ばれる水晶発振によるモーター制御もありました。 当然こちらはカメラのスイッチを入れた段階で一度タコメーターを確認すれば、バリアブルモーターに比べたら遙かに精度の高い制御でフィルムを送り続ける事ができ、これによりモータースピードコントロールの呪縛から解き放たれることが出来るのです。 アリフレックス2Cやミッチェル35Rはその構造こそ今のカメラに比べると単純ですが、この単純さがその後アリフレックス2Cはアリフレックス3Cへ、高精度のモーターが取りつけられて改造され、ミッチェル35Rは駒撮りからハイスピードまでオールラウンドに撮影できるカメラとして現在も活躍しています。 その後、80年代後半にかけて飛躍的にカメラ制御は発達し、特にパナビジョン社のパナビジョンゴールドカメラを筆頭にした、CPUを伴ったサーキットボードがカメラ本体に取りつけられるようになり、現在では1/1000コマの精度でコントロールすることが出来るようになっています。 1980年代の初頭、私自身はアナログ的な撮影機械であってもコントロール系統はデジタル化されるべきとの認識がありました。 当時、シャープのポケットコンピューターに被写界深度やレンズ画角など、撮影用データをBASICで独自にプログラムし常に持ち歩いていました。このポケットコンピューターにはA6サイズのドッキングステーションがあり、外部記憶装置としてのマイクロカセットレコーダーと小型のドットインパクトプリンターが内蔵されていて、撮影現場などで必要な情報を打ち込むと即座にデータがプリントアウトされる優れもの。90年初頭にアップルのパワーブックを手に入れるまでずいぶんと活躍しました。 そして今ではパワーブックからカメラをコントロールすることも出来る時代になったのです。 さらに、90年代初頭には今のインターネットの前身とも言えるパソコン通信で、アメリカオンラインのフォーラムに映像関係者の発言が活発に交わされるようになり、私自身も参加するようになりました。この時の通信速度は今では考えられないくらい遅く(300-1200bps)、如何にデータを圧縮して効率よく転送するかが大きな課題でした。 実はこの事が後のHDカメラと大きく関係してくるのです。 アナログとデジタルのゆくえ 第2部へ続く・・・ |
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