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Film vs HD |
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アナログとデジタルのゆくえ 第2部 1990年中頃からビデオカメラもデジタル化が進み、画質のコントロールに注目が集まってきました。特にデジタルベータカムに至っては5248セットアップと呼ばれるフィルムトーンを再現する手法も研究されアメリカでは話題になりました。 そして、後に画質コントロールを大幅に制御できるHD24Pカメラが出現し、それまでのビデオカメラ特有の狭いラチチュードを、CCDの持っている許容範囲600%いっぱいに使い、ニーポイントを0%まで設定できるHDシネガンマが開発されました。 新世紀を迎えた頃には映画館にはDLPが導入され、映画の衛星配信も行われ、ありとあらゆる映像システムがデジタル化に向かって進み始めたそんな時、2002年6月、突然衝撃的な記事がハリウッドを中心に広がったのです。 それはアメリカ、LAタイムズに「フィルムは終わった!」という内容の記事として掲載され、そのお膝元でもある映画の都ハリウッドは、この記事を巡っての大論争に発展したのです。当時LAタイムスのウエブページでもこの記事は読むことが出来ましたが、すぐに削除された経緯からも、この記事が如何に偏った記事であったかということが分かります。 そして、この事態に収拾をはかるべく、アメリカ撮影監督協会(ASC)は2002年8月4日、各国の撮影監督協会始め関係各所に対しHDに対する見解と声明文を発行しました。 この声明文の内容は、 「ASCは最新のデジタルテクノロジーを否定する事はないが、映像における画質クオリティーは、オリジナル35ミリネガフィルムをダイレクトにプリントしたプリントフィルムとして、高精度なスタジオスクリーニングルームに於いて上映された画質を最低条件とする」というものでした。これはHDであってもこの条件にあった画質のクオリティーを得られるならば、認めましょうというものです。 そして、この事はこの時点に於いては、デジタルはフィルムを超えていないと言うことでもあるのです。 確かにシネガンマによってラチチュードはフィルムに近づきましが、これはフィルムと同じと言うことではありません。そして35ミリネガフィルムを超えることが出来ないもう一つの事柄に、HDカメラのイメージセンサーの大きさが重要なポイントになってくるのです。 実際これまでの24Pカメラを始めとしたHDカメラは2/3インチのCCDを使用しており、このサイズはフィルムで言うならばスーパー16よりも小さい面積しか持っておらず、この事は許容錯乱円の大きさに関係し、つまりは被写界深度が深くなるという現象が起こるのです。 もちろん私自身もこれらのカメラを使用して撮影を行いましたが、撮影現場ではライトのバランスそしてカメラのセットアップをフィルム撮影以上に慎重に行い、尚かつ、深度を浅くするためにはレンズの解放近くでの撮影や必要以上の望遠側での撮影、そして高性能だが重量や大きさもかさばり高価なアンジェニューやパナビジョンのHDレンズを使用しなければならないなど、決して機動性の良い物ではありません。 さらに、物理的な構造におけるイメージセンサーはRGBそれぞれをピックアップするためにプリズムを介して3つのCCDに像を結びます。このプリズムがあるために理論的には絞りは1.6よりも明るくできないとの報告もあります。 また、ファインダーに至ってはフィルムカメラのようなオプティカルビューイングスルーではないために、像の粗い低解像度の電気的な映像に頼らざるを得ず、多くの場合オンボードのモニターを使用することになるなど、実に様々な状況をあげることが出来ます。 実はこれらの不満に対する根本的な問題点は、ENGを目的としたワンマンでも撮影可能なカメラシステムと、映像を作るためにオペレーター、フォーカスプラー、ドーリーグリップなど多人数で撮影を行うことを目的としたカメラシステムでは、そのカメラ自体の形態も操作方法も全く違う物であり、それらをこれまでのビデオカメラシステムに24Pカメラとして集約したところに問題があるのです。 そしてここに来てようやくDalsaやアリフレックスd-20という映像を作り上げるための、フィルムカメラのノウハウを詰め込んだデジタルムービーカメラが姿を現したのです。 アナログとデジタルのゆくえ 第3部へ続く・・・ |
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